ランニングは脳と体に良い影響を与える

ランニングが体にもたらしている効果は体力的なことだけではなく、健康維持やストレス解消などもある。
ランニングを定期的に行う場合の脳に好影響を及ぼすことがわかっている。
規則的な運動は体重を管理したり、心臓を健康的に維持したりする以上の効果を私たちに与えている。
特に朝行うランニングや早歩きは脳健康と認知機能に深く影響を及ぼしている。
脳科学者たちの最近の研究によると、このような有酸素運動は私たちの精神健康に重要な役割をし、認知機能の向上から気分のコントロールまで様々なメリットを提供している。

ランニングをするために脳は非常に忙しく働くことになり、ランニングに集中することになる。
普段、世間のことで色々な雑多な考えが多くあったとしたら、ランニングを始めよう。
走り出したらこのような雑多な考えは一瞬にしてなくなり、不安と心配なことは減ると思う。

私たちの先祖や長い進化の過程で人が走らないといけなかった理由は、身に危険が迫ったときや食べるために狩りをするときなど生存と直結した瞬間だった。このようにランニングをするときは重要なことだから雑多な考えに神経を使う暇がなくなる。ランニングの瞬間は体の中で不要な活動を抑制して、ランニングに集中できるように脳は働くことになる。だから、定期的にランニングするとストレスの緩和やうつ、不安などの症状の緩和にも効果的だそうだ。
もう一つ興味深いことはランニングを行う行為を持続的に何週から何か月の間行った場合、一番よくなる脳の機能の一つが集中力向上である。
普段は色々な考えで脳の様々な領域をものすごく使っているが、定期的にランニングをすると雑多な考えを捨て、集中することだけに集中するようになるメカニズムがトレーニングされる。

特に脳科学者たちと医者たちの中にランニングを頑張っている人たちがいる。この人たちにランニングを頑張っている理由を聞くと「BDNF」のために走っているという答えが多い。
BDNFとは、Brain-derived neurotrophic factorの略語で日本語では脳由来神経栄養因子である。脳由来神経栄養因子を分かりやすく説明すると脳細胞の成長を促進し、ニューロン(神経細胞)の成長と機能向上及び発達を刺激する因子である。即ち新しい成長細胞が作られることを促進するということだ。
成長細胞が重要なことは、万一に私たちが最初に生まれたときの細胞だけで生きるとしたら、80日程度で死ぬことになる。私たちの体の細胞は各々に交代周期が異なるが平均的に80日程度で全ての体の細胞が新しく生まれ変わることになる。だから、人が生きているということは絶えず細胞が死んで新しい細胞に生まれ変わる大きな規模の細胞のリレーである。
人間の体は約30兆個の細胞が存在し、30兆個の細胞は各々の異なる交代周期によって生まれ変わる。この交代周期が一番長い細胞が脳細胞である。1年中全体の脳細胞のたった1.75%だけが新しい細胞に生まれ変わって、新しく生まれる脳細胞より死んでなくなる脳細胞の数が多くなる。年を取ることにつれて、脳細胞の数が減り、脳の質量が減少すし、老化していくことになる。 新しい細胞が生まれないで死んでいくばかりだと学習能力、認知能力など脳の全般的な機能が落ちることになる。だから新しい神経細胞たちが生まれ、新しく脳の中で連結させることが長く健康的に生きることである。このように新しい神経細胞が生まれ変わることに役立っているのがBDNFで、このBDNFの分泌を促進するのに効果的なものがランニングである。細胞の生成と連結を促進し、私たちの体を健康に維持してくれるのがランニングの効果である。

ランニングはジムの中のランニングマシーンで走るのと野外で走るのとどっちが効果的か?

脳科学からではランニングマシーンよりは野外でランニングするのがより効果的である。ランニングマシーンは接触面と速度などが一定だが、野外でのランニングは道の形や障害物などで適応しなければならない変化が多く、ランニング中に体のバランスを維持するために脳はより多いエネルギーを消耗するからである。筋肉も同じ理由で野外でのランニングの方がたくさんのエネルギーを消耗するからランニングマシーンより効果的だと言える。また、野外を走って太陽光を浴びることは脳に覚醒効果をもたらし、一日をより明るく活気的な状態にする効果もある。
ランニングをすることで脳ではドパミンがたくさん分泌され、様々な楽しさを感じさせる原動力になる。

では、脳に一番効果的なランニング速度はどれぐらいのスピードになるのか?
会話が少々難しく息が荒くなるまで10分以上走るのが効果的だというが、中々簡単にできることではない。
走ると限界が来る時があってもうこれ以上走れないという瞬間がくる。だが、その瞬間を何とか超えると100kmも走れそうになるときがある。苦痛の後に訪れる幸福感に満たされるランナーズハイである。
ランナーズハイは、継続的な運動によって引き起こされる一時的な多幸感であり、喜び、深い満足感、高揚感、ウェルビーイングといったポジティブ感情を経験する感情的状態をいう。
この快感を味合うために再び走ることになる。脳科学者たちはランナーズハイの原因をエンドルフィンによるものだと説明してきた。
エンドルフィンは、脳内で機能する神経伝達物質のひとつで、内在性オピオイドであり、モルヒネ同様の作用を示す。特に、脳内の「報酬系」に多く分布して、内在性鎮痛系にかかわり、また多幸感をもたらすと考えられている。そのため脳内麻薬と呼ばれている。

最近ランナーズハイは、エンドルフィンだけではなく、アナンダミドというものも脳から分泌されることも分かった。
アナンダミドは、内因性のカンナビノイド受容体リガンド(内因性カンナビノイド)として最初に発見された物質であり、快感などに関係する脳内麻薬物質の一つとも考えられるが、中枢神経系および末梢で多様な機能を持っている。カンナビノイドは大麻をする時に得られる受容体である。
簡単に説明するとランナーズハイはアヘンと大麻を同時に摂取した効果を得られるということである。だから、ランニングにはまる人たちの脳が理解できたと思う。
(注意:薬物を誤用することは絶対しないように、上記の説明は脳の状態を説明するための一例である。)

ランニングを始めるに当たっていい方法とは?
朝起きてランニングに出かけることは簡単にできることではない。面倒くさいし、自分の意志だけでは難しいかも知れない。一人が難しい場合はランニングクルーたちと一緒に走るのをおすすめする。
人は他人とした約束を破ることに社会的抵抗感を持っているから、他の人たちと一緒に走ることで実践する頻度も上げられる効果もある。もっと興味深いのは人が持っている能力値も一人よりは他人と一緒にいる時の方が発揮できるということだ。一人で走るときより他の人たちと一緒に走るときにもっと長い距離を走れるということである。
また、一人で走るときと何人かと一緒に走るときとの脳にも差が出るということだ。一緒に走ると一緒に走っているメンバーたちと呼吸や脈拍などが同じリズムに同期化するという実験結果もある。このように同期化するときに、脳にも脳波が一緒に走っている人たちと同期化するという論文もある。互いの共感、信頼、親密感などが増加する効果があるという。
新しい出会いを求めている人たちはランニングクルーに入って一緒に走るのも良いかも知れない。

人類において歩くことや走れることは特別なことである。だが、人間はよく走れるように進化したものではない。他の動物に比べると走るスピードは遅いのが事実である。だが、人間が他の動物より優れているのは他の動物よりはスピードは遅いが継続的に走れる持久力を持っていることである。人が他の動物の狩りができた理由の一つが、獲物が早く逃げてもその足跡を追ってゆっくり追跡して疲れて休んでいるところを仕留めることができたからだという。動物は体が毛に覆われていて走った後の体温を下げる休憩時間が必要だが、人間は体温が上がったら汗で体温を早く下げながら長時間走れることができるからだという。

そういう意味で、早く走れなくても全く恥じることではない。ゆっくり自分のペースを守りながら走れる距離を走ってまた走ればよい。

ランニングにおいても人生においても早く走ることが重要ではなく、止まらず継続的に走ることが重要だと思う。